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摩擦円とは何か-コーナリング時のグリップ

摩擦円とは何か

摩擦円とは何か-コーナリング時のグリップ
自転車に限らず乗り物に乗っている人でも馴染みが薄いかもしれないこの摩擦円という理論。タイヤのグリップを語る上でこの摩擦円の理論を知っているかいないかでコーナリング時のタイヤのグリップが限界かどうかを判断できるかできないかに分かれてしまいます。摩擦円の理論を理解してロードバイクのタイヤのグリップについて理解を深めていただきたいと思います。

コーナリングを考える時に摩擦円を理解する

乗り物のコーナリングを考える上で欠かせないのが摩擦円です。タイヤのグリップは、加速や減速の縦方向の力と、ハンドルを左右に切った時に発生する横方向の力に分けることができます。その前後左右のグリップの合計の限界値は、タイヤ接地点を中心に円を描くように表すことができます。それが摩擦円です。縦と横の力はもちろん同時に使用することができます。例:曲がりながらブレーキをかける行為。しかし、加速や減速で前後方向のグリップを使うと、その分横方向に使えるグリップは小さくなってしまいます。つまり、タイヤのグリップの限界値は常に一定なのです。この考え方を摩擦円理論といいます。

摩擦円を頭にいれておくと、グリップに余裕がある状態ならコーナリング中でもブレーキをかけてもいいということが理解することができます。しかし、限界で曲がっているときに何かあったら、いったんコーナリングを止めてロードバイクを立ててブレーキを目一杯かけて、減速してからもう一度ロードバイクを寝かせてコーナリングするしかないことも分かります。摩擦円を頭に入れることで、今はコーナリングにだいたいこれくらいのグリップを使っているから、少しだけならばブレーキをかけても大丈夫というような推測が可能になります。何も考えずに走り回っているよりは、安全に、正確に、より速く、よりスムーズにコーナーを走り抜けることができるようになるはずです。

摩擦円とはなんなのか?

タイヤのグリップの状態を表した円を摩擦円といいます。円の中心、タイヤの接地点から伸びる矢印の向きがタイヤのグリップの向きを表します。加速時は前方に、減速時は後方に、右旋回時は右にタイヤのグリップの向きが向きます。矢印の長さがグリップ力の大きさを表していて、円周がタイヤのグリップの限界ポイントなので、矢印が円から飛び出すような力をかけるとタイヤは滑り出します。摩擦円の大小はタイヤのグリップ力の大小を表しており、タイヤの種類や路面の状況、タイヤにかかる荷重によって変化します。ドライでスムーズな路面での摩擦円に比べると、ウェットコンディションや砂利の上でのタイヤの摩擦円は小さくなります。タイヤのグリップが小さくなるということです。ブレーキングによって荷重が前に移動する、前タイヤが地面に強く押し付けられると前タイヤの摩擦円は大きくなり、同時に後ろタイヤの摩擦円は、荷重が抜けるため小さくなります。

直進時のタイヤの摩擦円

直進時の摩擦円のイメージ
直進時は後輪に駆動力が発生するため、後輪の摩擦円が大きくなります。
ペダリングしながら等速で直進している時の摩擦円は上図のようなイメージになります。後輪の摩擦円には駆動力が発生していますが、ロードバイクの駆動力は小さいため、ブレーキング時に比べて矢印は短いです。ロードバイクの荷重バランスは大体、前4:後6のため、等速巡航時は摩擦円の大きさも前4:後6となります。激しく加速すると荷重は後ろに移動するため、後輪の摩擦円が多くなり、前輪の摩擦円は小さくなります。ダンシングをすると荷重は前側に移動することになります。

制動時のタイヤの摩擦円

制動時の摩擦円のイメージ
荷重移動によって摩擦円の大きさが変わります。
上図は制動時の摩擦円のイメージです。減速運動によって荷重は前に移動しているため、フロントタイヤの摩擦円が大きくなり、リアタイヤの摩擦円は小さくなっています。ブレーキをかけたときに後輪が滑りやすくなるのはこのためです。よって、ハードブレーキ時には腰を引いて重心を後ろに移動させて、後輪にも荷重をかけると荷重移動を相殺することができ、挙動が安定します。直進状態でブレーキをかけると後ろ向きにグリップ力が働き、制動力が大きくなるほど矢印が伸びることになります。矢印の先端が摩擦円の円周上に達した時が、タイヤのグリップの限界となり、それを超えて矢印が摩擦円から飛び出すようなブレーキをかけると、タイヤはグリップを失ってスリップしてしまいます。フロントブレーキだけを強くかけると激しい荷重移動が起きて、後輪の摩擦円が消滅します=後輪が浮く。

コーナリング中のタイヤの摩擦円

コーナリング時の摩擦円のイメージ
旋回中の摩擦円は矢印が真横に伸びます。
定常旋回、コーナーのアールと速度が一定のコーナリングでの摩擦円のイメージです。加速や減速はしていないため、荷重配分は巡航時と同じくややリア寄りの前4:後6で、摩擦円の矢印は内側の真横に伸びています。コーナリングスピードを上げれば上げるほど、もしくは旋回半径を小さくすれば小さくするほど、矢印は長くなっていき、矢印の先端が摩擦円の円周上にあるときタイヤは最大のグリップを発揮している状態です=コーナリングの限界。この状態で路面状況が悪くなる、タイヤと路面の摩擦係数が低くなると摩擦円が一気に小さくなるため、タイヤはスリップしてしまいます。また、この状態からさらにロードバイクを倒す、もしくはブレーキをかけると矢印が摩擦円を飛び出してしまう力が働こうとしますが、摩擦円の限界があるため、タイヤのグリップを失って転倒することになります。

理論上の最速コーナリングとは

公道では直線部分でブレーキングを終えてから、バンクさせるのがコーナリングのセオリーですが、ここでは摩擦円理論上の最速コーナリングを考えてみます。まず、摩擦円で後ろ方向のグリップを最大に使ったフルブレーキングを行います。この状態でバンクさせると矢印が摩擦円を飛び出してしまうので、ブレーキを緩めながら、その分だけロードバイクをバンクさせ始めます。そのまま横方向のグリップの割合を多くしていき、ブレーキレバーを完全にリリースした瞬間にフルバンク状態に入ります。このようなコーナリングをすると、グリップの合力(矢印)は摩擦円の円周をトレースするように移動することになります。これがタイヤのグリップを使い切った安全マージンゼロの限界コーナリングになります。難易度が非常に高いため、無理にチャレンジはしないでください。

コーナリング中のブレーキは何故危ないのか

減速もしくは加速しながら曲がる時、タイヤのグリップ状態は真横方向と後ろ方向を合成した、斜め後ろ向きの矢印の向きになります。横方向に最大のグリップを使った状態のままブレーキをかけて減速すると、後ろ方向の矢印と右方向の矢印の合力は斜め後ろ向きの矢印となり、この斜め後ろ方向の矢印は摩擦円の円周上から飛び出してしまいます。これはタイヤのグリップの限界を超えたことを意味します。よくコーナリング中にブレーキをかけてはいけないと言われるのは、このためです。グリップに余裕のあるコーナリング中ならブレーキをかけても大丈夫ですが、矢印を摩擦円の円周内にとどめることが必要になります。いきなり強くブレーキをかけると矢印が摩擦円から飛び出してしまい、スリップしてしまいます。安全に曲がるためにはいかに矢印を摩擦円から飛び出させないかを考える必要があります。

走行中のロードバイクのタイヤのグリップの状態について理解していただけたでしょうか。
摩擦円とタイヤのグリップの力が働く矢印の関係が理解できると、今どれだけグリップに余裕があって、少しブレーキをかけても大丈夫とか、フルブレーキをかけた時前輪に荷重がかかるので、腰を引いて後輪にも荷重をかけないと後輪が浮く、もしくは後輪の摩擦円が小さくなりすぎてタイヤがスリップしてしまうということが理解できると思います。
タイヤの摩擦円と走行状態によるタイヤのグリップ=矢印の関係を理解して、走行中のロードバイクのタイヤのグリップ状態について意識してみてください。

自転車は何故曲がるのか?-ロードバイクのコーナリング力学
ロードバイクで曲がるということを意識した方は少ないのではないでしょうか。ロードバイクも二輪車なのでコーナリングには技術が必要です。コーナリングの理論の中でもコーナリング中の力学について解説します。

自転車は何故曲がるのか?ロードバイクのコーナリングの力学の基本については上記の記事をご覧ください。

コーナリング時に最適な荷重バランス-セーフティコーナリング
ロードバイクでコーナリングする時の最適な荷重バランスは?前荷重なのかそれとも後ろ荷重なのか。前後の荷重バランスからコーナリング時の最適な荷重バランスを考えます。

コーナリング時に最適な荷重バランス-セーフティコーナリングについては上記の記事をご覧ください。

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