Last Updated 2020.12.24
携帯ポンプの人気の理由
自転車用アクセサリーにおいて、携帯ポンプは種類の豊富さでトップを争う存在です。ここまで携帯ポンプが増えたのは、人によって求める条件が細かく異なることが理由として挙げられます。ブルベでは比較的大きめのフロアポンプの代用になるような大きめの携帯ポンプが人気ですが、一般のライダーはロードバイクにスマートに固定できて邪魔にならず、見た目もなるべくロードバイクの景観を損なわないデザインのものが好まれたからだと思います。
携帯ポンプは小さい代償として、ポンプ自体の容積が小さいものが多くパンク修理時には多くのポンピングが必要になります。その結果として非常に疲れます。
そうした事実を知ってなおコンパクトな携帯ポンプを求める人の願いはただ一つ、スマートな外観でしょう。
本記事では、各社様々な携帯ポンプの中から使いやすさと携帯性に優れた携帯ポンプを取り上げて比較していきます。
エアボーン ブラボーポンプ
ポンピング回数:500回(5.5bar)
操作性:2
質感:4
使えるミニ携帯ポンプとして話題になったエアボーンの携帯ポンプです。全長99mm、重量と50gと携帯ポンプの中でも最も短く最軽量です。
口金部分が回転するので、バルブにしっかりとねじ込むことができます。本体が非常に小さいので、反対側からヘッドを手のひらで押さえつつポンピングするのがベストです。1ストロークで入る空気量が明らかに少ないので最初は充填されているのか不安になります。最大充填可能圧力は公称7barです。
クランクブラザーズ スターリングS
ポンピング回数:350回(5.6bar)
操作性:5
質感:5
クランクブラザーズのスターリングSはシリーズ中で最も短く、エアゲージを持たないシンプルなモデルです。ボディは6061アルミでエアボリュームの切り替えスイッチがあります。
40psi(2.8bar)を目安に切り替えると効率よく充填できるエアボリュームスイッチが付いています。口金部分のロックレバーが大きく、かつ操作したときのコクッという感触が上質感があります。最初はハイボリューム側でポンピングして、300回で5.2barまで加圧できます。続いてハイプレッシャー側に切り替えることで5.6barまで加圧することができます。
SKS エアボーイXL
ポンピング回数:310回(5.0bar)
操作性:4
質感:4
SKSはドイツのポンプ専門メーカーです。独自の2チャンバーポンピングシステムを採用することで、小さなボディながら高圧注入することができます。専用ホルダーも付属します。
ボディのバルブ側、ハンドル側の両方にチャンバー室を設けているのが特徴で、このサイズからは想像できないほど1ストロークでの充填量が多いです。口金はシンプルな差し込み式ですが、固定力は高く、またボディ両端の形状が絶妙で、ポンピングの時に手が痛くなりにくいです。充填可能圧力は公称8barです。
ゼファール エアプロファイル マイクロ
ポンピング回数:360回(5.0bar)
操作性:3
質感:3
口金にダストキャップがある親切設計です。ロックレバーは指を引っ掛けやすい形状なので操作性は良好です。ポンピングについては200回を過ぎたあたりから圧縮方向の動きが重くなり、300回で額から汗が滲みでるほどの力が必要になります。充填可能圧力は公称7barです。本体が少しでも動くと口金からエアが漏れるので確実にホールドする必要があります。
TNi ロードCNCミニポンプ
ポンピング回数:200回(5.6bar)
操作性:3
質感:5
TNiの定番商品で、CNCによって加工されたピカピカのアルミボディが特徴です。2段階に伸びるテレスコピックチューブを採用しています。仏式バルブ専用です。
口金にダストキャップを採用しています。ロックレバーはデザイン優先のためか非常に小さく、起こすのに意外と力が必要です。また、握り方によっては突起が痛いと感じることもあります。ポンピング150回を超えたあたりから徐々に重くなり、200回で押すことが困難になるようです。充填可能圧力は公称6.9barです。
BBB イージーロード
ポンピング回数:300回(6.2bar)
操作性:5
質感:5
BBBはオランダの総合パーツブランドです。ボディには6061アルミを採用しています。米式バルブにも対応し、専用ホルダーも付属します。
手前からヘッドを握れない作りなので反対側から手のひらで押さえるしかありませんが、起こした状態のロックレバーが端面からほとんど飛び出さないので、痛みはありません。ポンピングの回数が増えてもさほど手応えが重くならず、また口金を外す時にほとんどエアが漏れることはありません。充填可能圧力は公称7.0barです。
エアスミス エアリフトHPM-PCB
ポンピング回数:180回(5.8bar)
操作性:3
質感:4
ハンドル側からホースを引き抜き、ボディ側にねじ込んで使用します。ホースに対して口金が独立して回らないので、バルブにねじ込むのがやや面倒です。ボディからホースにかけてのテーパードなデザインが握りやすく、また切削痕によって汗ばんでも滑りにくいです。比較的少ない回数で5.8barに達しましたが途中からかなり重くなるので腕力が必要になります。充填可能圧力は公称8.2barです。
プロ CNC+ ミニポンプホースモデル
ポンピング回数:250回(5.8bar)
操作性:5
質感:4
ボディとハンドルが同径のスマートなミニ携帯ポンプです。ホースの両端には仏式、米式の口金が付いており、向きを変えることで両方のバルブ形状に対応します。
ミニ携帯ポンプは小さいゆえに壁や地面などに本体を押し付けながらのポンピングがほぼ不可能ですが、このプロの製品は数少ない例外です。理由はホースの接続部がボディの側面にあるからで、壁や地面を利用することで7bar充填も夢ではありません。
側面に口金があるのが特徴でホースを接続しないで直にバルブを差し込んでも使用可能です。
充填可能圧力は公称8barです。
トピーク レースロケットHP
ポンピング回数:250回(5.8bar)
操作性:5
質感:4
トピークのレースロケットシリーズは5種類展開されています。HPは細身でコンパクトなロードバイク向けモデルです。ボディはCNCで加工されたアルミ製です。
仏式と米式に簡単に切り替えられるスマート・スレッドロックを採用しています。先端が独立して回転するのでバルブにねじ込みやすく、ホースの長さもミニ携帯ポンプとしては適切です。ハンドルのローレット模様が手の滑りを防いでくれて、空気圧が高まってもなお確実にポンピングできます。非常に扱うやすく実用的です。充填可能圧力は公称11barです。
バーズマン ヴェロシティアポジーロード
ポンピング回数:200回(5.6bar)
操作性:4
質感:5
ヴェロシティはホースを引き伸ばすタイプで、フレームに取り付ける専用ホルダーも付属します。口金が秀逸でスナップイットと名付けられたバーズマン独自の口金が付いています。先端を外すと米式バルブに対応します。リングをホース側にスライドさせた状態でバルブを差し込み、リングを戻して半周ほど回すだけで確実にロックでき、リリースは再びリングをスライドするだけです。ポンピングの手応えは150回あたりから重くなり、200回で5.6barになりました。ハンドル側にダストキャップがないので押しやすく、グリップも滑りにくいです。充填可能圧力は公称11barです。
ボントレガー エアーサポートHPプロS
ポンピング回数:200回(5.2bar)
操作性:3
質感:5
ホースを引き伸ばして使うタイプのミニ携帯ポンプです。仏式バルブのみ対応します。フレームに取り付ける専用ホルダーも付属します。
同系色のロゴやメッシュホースで独自のカラーを打ち出すことで成功しています。口金部分は独立して回転するのでバルブにねじ込みやすいです。1ストロークあたりの充填量は多めで、ポンピング150回付近で急激に重くなり、200回が限界のようです。ホースとダストキャップによって意外とホールドしにくく、また汗でボディが滑りやすいのが主な要因と言えるようです。充填可能圧力は公称8.25barです。
マックスDNA ブレードRBM
ポンピング回数:330回(7.2bar)
操作性:4
質感:5
台湾のアクセサリーブランドです。ホースは引き伸ばすタイプで、口金をバルブにねじ込んで使用します。シャフトが太めでガタが少なく、ポンピングが300回を超えてもなお頑張れば充填できそうな雰囲気があります。ホース側のボディにはわずかなくびれがあり、これがホールドのしやすさの要因になっています。ダストキャップは口金にあるので、ポンピングの時に邪魔になりません。細めのホースはしなやかでバルブに負担をかけにくいようになっています。充填可能圧力は公称11barです。
ユニック ミニポンプ Sサイズ MP-SHP2
ポンピング回数:220回(6.0bar)
操作性:4
質感:5
ユニックも台湾のメーカーでポンプが中心のラインナップです。ホースは取り外し式で、口金は反転させることで仏式と米式の両バルブに対応します。CNC加工による美しいアルミボディが特徴のミニ携帯ポンプです。バルブにねじ込んで使用するのですが、回す方向を間違えるとデュアルヘッドが外れてしまうので注意が必要です。ポンピング時のガタの少なさから精度の高さが分かります。6.0bar充填するにはかなりの腕力が必要になります。充填可能圧力は公称9.8barです。
レザイン ロードドライブS
ポンピング回数:190回(5.5bar)
操作性:3
質感:5
レザインのロードドライブは長さが3種類あり、ジャージのポケットにも収まることをコンセプトに最も短いSサイズが追加されました。ホースは片側がねじ込み式で、もう一方が差し込み式になっています。ホースの両端にある口金はどちらも仏式で、それぞれバルブへの取り付け方が異なるのが特徴です。ポンピングは空気圧が高まるにつれて徐々に重くなりますが、5.5barを超えてもまだ余裕がある印象でした。本体の両端にダストキャップがあるのでポンピングの際にやや邪魔に感じますが、気になったのはその程度です。充填可能圧力は公称11barです。
ジャイアント コントロールミニプロCO2
ポンピング回数:270回(5.9bar)
操作性:4
質感:4
ジャイアントから販売されている携帯ポンプで、CO2カートリッジも使えます。付属の専用ホルダーにはCO2カートリッジを2本まで装着できます。ポンプヘッドの作りがやや特殊ですが、直感的に使うべき口金が分かる作りになっているのは秀逸です。細身かつ短めのボディゆえに1ストロークでの充填量は少なめですが、回数を増やせばしっかりと実用域まで加圧できます。CO2カートリッジは1本あたり400円のコストがかかりますが、ミニ携帯ポンプによる疲労と天秤にかけると1つの正解とも言えます。充填可能圧力は公称8.25barです。
バルブに負担をかけないことがコツです
スタンダードヘッドの場合、タイヤごとヘッドをホールドするのが理想ですが、バルブの長さやリムハイトによっては手の大きな男性でも困難な場合があります。ホースタイプは両手をポンピングに集中させられるものの、ホイールが立っている状態でないと力を入れづらいです。いずれにせよ、バルブには負担がかからないように注意が必要です。
ゴムパーツの劣化は定期的にチェックする
ミニ携帯ポンプはツールボトルにも収納できますが、フレームのボトルケージを利用して付属のホルダーで固定する場合、ダストキャップが無いモデルだと口金から雨水や砂が入り込む可能性があります。経年劣化もありますので口金付近は定期的なチェックが必要です。多くの口金は簡単に分解することができ、補修パーツを用意しているメーカーもあります。そういった補修パーツの入手のしやすさも携帯ポンプを選ぶポイントとしても良いでしょう。