Last Updated 2021.01.04
レースに合わせて点検とセッティングをする
ヒルクライムレースでは軽さこそが正義で、特にUCIの規定が適用されないほとんどのイベントレースでは、高額な軽量パーツを装着したロードバイクが数多く見られます。
ショップとしては高額なパーツがバンバン売れた方が嬉しいのでしょうが、まずはレースは完走してなんぼですから、やはりリスクを回避するために点検やメンテナンスから入るのが王道になります。
1ヶ月前点検を推奨します
ヒルクライムレースに限らず様々なレースに出場する時には、1ヶ月前点検を推奨します。これは不具合が見つかってパーツを交換する必要があり、パーツを取り寄せる時間的な猶予も考慮して設定しています。特にブレーキは安全のためにも要チェックです。
ヒルクライムは完走と安全な下山の両方が重要ですから、下山時にきちんとブレーキをかけながら安全に下山できるようにブレーキをきちんと整備しておくことも大切です。
1ヶ月前点検でバイクの性能を100%引き出す
車検の無いイベントレースが大半を占める昨今では、機材トラブルによるリタイアも増えつつあります。これは非常にもったいないと言えます。せっかくレースに合わせてトレーニングやコンディションを整えてきたのに肝心のロードバイク自体のコンディションを整えていなかったのでは、本当の意味でレースのためにコンディションを整えてきたとは言えません。ロードバイクのコンディションも整えてこそレース前のコンディション作りです。
ロードバイクのメカに弱い人はプロショップに点検をお願いして、万全のコンディションにしてもらうのも一つの方法です。
ヘッドのガタをチェック
自分でステムを交換するなどした際、ヘッドパーツにガタが発生しているケースもあります。操作安定性に大きく影響するので必ずチェックしましょう。
チェーンの伸びを確認する
意外にきちんとチェックされていないのが、チェーンの伸びです。摩耗による伸びはもちろんのこと、変形やクラックがないか確認しましょう。変速不良が直らない時はチェーンの不具合も疑ってみましょう。大体5,000km走行していたらまだ大丈夫そうでもレースでトラブルにならないように交換しておくのがおすすめです。
ブレーキシューの減りを確認する
ヒルクライムレースが終わり下山するときは、集団でゆっくり下山するため、ブレーキシューの摩耗が激しいです。リミットラインぎりぎりの場合は迷わずに交換しておきましょう。
上りの変速の調整を確認する
普段平坦なサイクリングロードしか走っていない人は、トルクがかかった状態でのロー側への変速フィーリングを必ず確認しておきましょう。
ホイールを交換した時にはブレーキシューの確認を
ヒルクライムレースに合わせて、普段使用しているアルミリムのホイールから決戦用のカーボンホイールに交換した時はブレーキシューもカーボンホイール用のブレーキシューに交換しておくことを忘れないようにしましょう。また、制動力やブレーキタッチも変わりますのでブレーキの制動力やブレーキタッチは必ず確認しておきましょう。
コースに合わせてセッティングする
ロードバイクのアッセンブルを換えることは機材スポーツの醍醐味でもあります。費用対効果の高いタイヤやチューブの交換、ホイールの選択、コースのプロフィールに合わせたギア比の変更等、試してみる価値は大いにあります。
タイヤ
タイヤもヒルクライムレースに合わせて、軽量タイプのタイヤにするのもおすすめです。クリンチャータイヤでは1本あたり200g前後が目安になります。
インナーチューブ
インナーチューブも地味に軽量化できます。一番軽量化できるのはラテックス製チューブですが、空気が抜けやすいため空気圧の管理がシビアになります。ここはブチル製のチューブの中でも軽量タイプがおすすめです。
ホイール
予算が許すなら軽量ホイールを導入するのがおすすめです。ヒルクライムでの定番はローハイトホイールですが、コースプロフィールによっては序盤緩斜面が続くようなところではディープリムでタイムを稼ぐのもアリです。
ギア比の選択について
最近の完成車ではフロントに50×34T、リアに11-28Tを採用しているケースが多く大抵のヒルクライムレースではこれでカバーできます。11-28Tでは上るのが辛そうなコースプロフィールのヒルクライムレースでは11-32Tのワイドスプロケット化も視野に入れるのも良いと思います。
ワイヤテンションを調整する
トルクがかかった状態でロー側への変速を確実にするために、リアディレーラーのワイヤテンションをほんの少し、アジャスターで1/2~1/4回転程張り気味にしてワイヤテンションを調整するのも良いと思います。
空気圧について
タイヤの空気圧は1,000m上昇すると約0.12bar上がりますが、同時に気温も下がるので、トータルするとほぼ変化しないと言えます。走行抵抗を減らすために普段より0.5bar位空気圧を上げておくのは許容範囲です。
レース直前に愛車を綺麗にピカピカに
ヒルクライムレースに出場する上で、1ヶ月前点検をしたら多くの人はレースまでの残り時間、上りを中心としたトレーニングに励むことと思います。
問題は、頑張った分だけロードバイクが汚れてしまうことです。特にチェーン周りの駆動系は汚くなるだけでなく、確実に走行抵抗が増えるのでタイムロスに繋がってしまいます。
レースに向けて、ロードバイクは最高のコンディションにしておきたいところです。とはいえ、もう一度プロショップに持ち込むだけの時間はありません。そんな悩めるサイクリストのために、レース前にやっておきたい自宅でも簡単にできるメンテナンスを紹介します。
駆動系の洗浄は専用クリーナーで綺麗にする
下準備としては溶剤や汚れが飛んでもいいように、新聞紙等で周囲を養生します。特にブレーキシューの当たり面やトレッドに付着すると危険なのでホイールはきちんと覆うようにしましょう。
チェーン洗浄
チェーン下側にウェスを当てて、上方からチェーンクリーナーを吹き付けます。噴射力と洗浄力の相乗効果でローラーの奥からも汚れが出てきます。
チェーン1周分にチェーンクリーナーを吹き付けたら、綺麗なウェスで溶剤をしっかりと拭き取りましょう。このとき、リアディレーラーのプーリーに付いた汚れも落としておきましょう。
クランク周りの洗浄
クランク周り、特に歯車のところにパーツクリーナーを吹き付けてチェーンリングの歯に付いた汚れを落としていきます。特にヒルクライムではインナーを多用するので、確実に落としておきましょう。
スプロケット洗浄
リアホイールを外して、パーツクリーナーをリアスプロケットに吹き付けます。この時ホイールにパーツクリーナーがかからないようにウェスでスプロケット周辺をカバーするようにホイールを養生することを忘れずに。パーツクリーナーを吹き付けたらウェスをスプロケットの間に挟んで、擦るようにして汚れを落としていきましょう。
注油はレース当日のコンディションに合わせる
雨の心配がなければ低フリクションに特化したチェーンルブを使用します。1コマずつ塗布して余分なオイルを拭き取り5分~10分程浸透させます。
雨ならセミウェットタイプのチェーンルブを使用しましょう。通常のチェーンルブより耐水性が高いので、もしレース当日が雨模様ならばセミウェットタイプを塗布しましょう。
愛車の輝きを取り戻してやる気をアップしよう
最後は愛車を綺麗に洗車して、やる気をアップしましょう。
洗車しているとフレームのクラック等のトラブルに気づくときもあり、予想外のトラブルを発見できるというメリットもあります。
マイクロファイバークロスに、クリーナーを適量スプレーしてフレームを拭き上げていきましょう。
ヒルクライムレースに挑戦するにあたって
本記事ではヒルクライムレースに挑戦する最後として愛車の点検とメンテナンスを取り上げました。短期間でも鍛えることができるヒルクライムレースとして特集しましたが、参考にしていただけたでしょうか。これからヒルクライムレースにチャレンジする方はぜひ参考にしてください。