Last Updated 2021.12.19
ロードバイクにヘッドライトを装着している割合は増えてきています
車やオートバイはライト類、ヘッドライト、車幅灯、ウィンカー、ストップランプなどについて厳しいルールがあります。それら公道を走る乗り物はすでにライトが車両設計に織り込まれており、光量や光軸の角度なども定められています。現在のオートバイは消灯できないようになっていたり、車のオートライト、暗くなったら自動で点灯する機能が義務化されるなど、ライトに関するルールはさらに厳しくなりつつあると言っていいでしょう。しかし、同じく公道を走る乗り物であるはずの自転車、特にロードバイクのライトについてはルールが曖昧で規制も緩いものです。そもそも、車道を走るべき乗り物なのに、ライト類が一切ついていない状態で販売されているのも不思議なのです。
実際、無灯火など道交法に即していない状態のロードバイク乗りはかなり多いです。とは言っても、最近ではきちんとヘッドライトを点灯させているロードバイク乗りの方が増えてきた印象です。自転車は車道を走るものだと権利を主張するなら、まずは灯火類の規定を守ることが重要だと思います。もちろん、ライトを付ける真の目的はルールを守るためではなく、安全に走るためです。まず、車対自転車の人的事故要因の87%が発見の遅れです。判断の誤りが12%操作の誤りが1%。車のドライバーに自分を早く発見させることができれば、車側のミスによる事故の大半は防げるということです。次に車対自転車の死傷事故の昼夜別発生割合について。意外にも死傷事故の78%は昼間に起きています。明るい昼間とはいえ、ライトで自分をアピールすることができれば事故防止につながることがわかるデータです。デイタイムライトというやつですね。そしてちょっと生々しいデータ。自転車対車両事故で最も多い原因が出会い頭で半分以上を占めますが、事故後に死に至る確率が最も高いのは車が自転車に後ろから追突するケースです。身構えることができないためか、事故件数自体はさほど多くないですが、重大事故になる確率が高いのです。これらのデータから分かることは死にたくないなら、昼間から前後に目立つくらいのライトを付ければ良いという事実です。
最近のライトは高機能・多機能化
なるほどそうか。じゃあ今使っているヘッドライトよりももっと明るいライトを買おう。とあなたは自転車店に出向き、ライトコーナーの前に立つかもしれません。そこにはさまざまなメーカーの色とりどりなライトがズラリと並んでいます。最近のライトは高機能、多機能化が進んでおり価格も中々高いものです。自分の使い方に最も適しているライトはどれなのか。どれを買えば安全性が一番高まるのか。どれが自分の命を守ってくれるのか。そんな疑問を解決し、自分に合ったライトの選び方を解説します。
自転車のヘッドライトに関する基本的なルール
まずは基本から。自転車用ライトに関するルールを押さえておきましょう。自転車用ライトの規則は都道府県によって異なり、テールライトを点滅させてはいけないって知ってましたか?自転車は免許制度がないだけに、乗り手の知識とモラルが問われる乗り物です。本来ならば、車道に出る前に頭にいれておかなければいけないことなのです。
自転車に関するライトの法規制について
当然ですが、自転車も夜間やトンネル内など暗い状況ではライトを点けなければいけないと道交法で定められています。しかし、その内容は車のように全国で統一されているわけではなく、都道府県によって異なります。例えば東京なら、ヘッドライトは色が白もしくは淡黄で、前方10mが確認できる明るさのもの。テールライトは赤色で、後方100mから確認できる明るさのものと定められています。これらの条例も改善されてきています。これが神奈川県になると、ヘッドライトは前方5mが確認できる明るさのものになるなど、地域によって明るさ・色などの規則が微妙に異なるのです。また、テールライトは点灯であることと定められているので点滅はNGですが、ヘッドライトに関しては点灯か点滅かの言及がなく、前方が確認できることとしかかかれていません。しかし、点滅では一瞬暗くなるため、ヘッドライトも点灯であるべきと考えたほうがいいでしょう。また、道交法上ではリフレクターを付けていればテールライトは必要ないことになっていますが、被視認性を考えればより目立つ点灯するテールライトは必須となるでしょう。以上を踏まえてヘッドライトは白か淡黄で10m先のものが確認できる明るさ。テールライトは赤色で後方100mから確認できる明るさのもの。いずれも夜間やトンネル内など暗い場所で点灯させなければいけません。点滅はNGと考えておけば間違いはないでしょう。
点滅のほうが目立つけど
ライトには2つの意味があります。まず、自分が暗い夜道を見やすくするための視認性。そして、自分を目立たせてドライバーや歩行者から見られやすくするための被視認性です。ヘッドライトは視認性と被視認性を、テールライトは被視認性のみを考えればいいでしょう。先述したとおり、ルールとしては前後ともにライトは点滅ではなく点灯させなければいけませんが、被視認性を考えればチカチカと目を引く点滅のほうが目立ちます。ライトを点滅させたいのなら、点灯するライトと併用すれば法的には問題ありません。なお、リアはリフレクターを付ければライトを点滅させても問題ありません。私はヘッドライトは2つ、テールライトはシートステイに2つとヘルメットに小さいテールライトを1つつけています。これだけのライト類をつけておけば、後ろからくる車やオートバイにも目立ちますし追突事故防止になるでしょう。
ライト類の取り付け位置は
ヘッドライトはハンドル周りに、テールライトはシートポストかシートステーに取り付けるのが一般的です。しかし、もっと高いところにつけたほうが車から見えやすくなります。一番高いのはヘルメットですが、頭を動かすとライトの角度が変わってしまうため、メインのライトとして使うには問題がありますね。バックパックやウェアに付けるのも位置が高くなるため有効ですが、そもそも道交法上では自転車本体に装着しないとライトとみなされないので、自転車以外の場所に付けたライトはあくまで補助灯という扱いになります。ヘッドライトとテールライトを自転車に装着した上で、ヘルメットやウェアなどに補助ライトを付ければ、ルール上も問題なく、安全性もさらに高まります。
ヨーロッパですと、ライト類の他に反射ベストを着用を自主的もしくは推進している国もありますね。ブルベのルールでも再帰反射するベストを着用する義務がありますが、この反射ベストの着用義務はヨーロッパの影響を受けています。ランニングやロードバイクおよび自転車で着用する反射ベストは、いわゆる工事現場で着用するような反射ベストとは違い、主に背中に反射材が集中していて後方への自分の存在のアピールが主な目的・役割となります。ロードバイクの場合はヘッドライトとテールライトをきちんと用意していれば、反射ベストは必ず必要とまではいきませんが、川沿いの真っ暗なサイクリングロードをジョギングしているようなランナーさんは反射ベストは必ず着用してほしいなと思います。ロードバイク乗りから見ると本当にランナーというのは直前になるまで視認できないものなのです。お互いの安全の確保のため、自身の安全のためにもぜひ反射ベストを着用してほしいと思います。