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ペダリング時の筋肉の働きを理解して意識する

Last Updated 2020.12.31

ペダリング時に働く筋肉の役割を理解してペダリング効率を改善

ペダリング時の筋肉の働きを理解して意識する
普段ロードバイクに乗っている時にペダリングする時この筋肉を使う、なんて意識してペダリングしている方は少ないと思います。普段あまり意識することなくロードバイクに乗ってペダリングしているわけですが、ペダリング時に働く筋肉の役割を理解して意識することでペダリング効率を改善することができます。

ロードバイクのペダリング中に使う筋肉の方に意識を傾けすぎると、外を走行中の場合周囲への注意力が散漫になってしまうので、3本ローラーや固定ローラー等室内でトレーニングする時に意識するようにしてみてください。くれぐれも外を走行中にあまり脚の筋肉へ意識を集中すると危険ですので室内トレーニング中に試すことをおすすめします。

ペダリング時の関節の動きを理解する

ペダリング時の筋肉の話の前にまずペダリング時に、脚の関節がどう動いているかという話から入ります。ペダリング時にペダルを回す動作をする時、脚の関節は股関節と膝関節が伸展と屈曲を繰り返すことでペダルを回す動作に繋がっています。

ペダルを上から下に回す時の関節の動き

ペダルを上から下へ回す時、脚の関節は股関節と膝関節が共に伸展、つまり伸びる動作をすることでペダルが上から下へ回されます。

ペダルを下から上へ回す時の関節の動き

ペダルを下から上へ回す時、脚の関節は股関節と膝関節が共に屈曲、つまり曲がる動作をすることでペダルが下から上へ回されます。

ペダリング時は両足で反対の動作が常に行われている

上記のように片足だけのペダリング動作に焦点を当てると股関節と膝関節の伸展と屈曲が繰り返されているわけですが、ペダリングは両足で行っているので、片足がペダルを下へ回す時股関節と膝関節は伸展していますが、反対の足ではペダルを上へ回すために股関節と膝関節が屈曲しています。
この股関節と膝関節の伸展と屈曲の動きを、両足が反対の動きを続けることでペダルを回す動作に繋がっています。

ペダリング動作の時にパワーを生む筋肉とは

脚の筋肉の詳細図
出典

イラスト図解「ひざ関節、足、下半身の構造」/骨・筋肉・靭帯・腱の名称や働き
膝まわりや下半身の構造をイラストで図解しています。体を構成する骨、軟骨、筋肉、靭帯、関節などの組織について、その位置関係と名称、主な働きなどを確認できます。

ペダリング時にペダルを回す動作をする時、脚の関節は股関節と膝関節が伸展と屈曲を繰り返すことでペダルを回す動作に繋がっているということは理解していただけたでしょうか。
次にこれを脚の筋肉に置き換えて考えてみます。
上図の脚の筋肉の図を参考に以下の記事を読んで筋肉の働きを理解してください。

股関節が伸展する時に働く筋肉

股関節が伸展する時、つまりペダルを下に回す動作の時に働く筋肉は大臀筋とハムストリングスです。ハムストリングスとは、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の総称です。そのため複数形で呼びます。脚の後ろ側にある膝関節と股関節を繋いでいる筋肉群です。

膝関節が伸展する時に働く筋肉

膝関節が伸展する時、股関節と同様にペダルを下に回す動作の時に働く筋肉は大腿四頭筋です。これは外側広筋・内側広筋・中間広筋・大腿直筋からなる太ももの筋肉です。脚の前側の太ももの大きい筋肉です。

ペダリングを安定させるのに働く筋肉

ペダリング時パワーを出す時には上記の大臀筋、ハムストリングス、大腿四頭筋でペダルを回そうとパワーを出しますが、ペダリングを安定させるために他の筋肉も働いています。
大臀筋はパワーを出そうと収縮すると、太ももを外側に引っ張るクセがあります。何も考えずに大臀筋を収縮させて股関節を伸展させようとすると、膝がガバッと外に開こうとするのです。それを抑制してペダリングを安定させるために、内転筋群が使われます。
ペダリング時には、パワーを出すための大臀筋、ハムストリングス、大腿四頭筋、ペダリングを安定させるための内転筋群が働いてペダルを回す動作を行っています。

実は引き足は役に立っていなかった

次に引き足についてです。
脚を持ち上げる時、股関節を屈曲させるには大腿直筋と腸腰筋、膝関節の屈曲にはハムストリングスを使っています。いずれもほとんど意識せずに動きますし、出力的にはさほど高くありません。今まで引き足が大切だと言われていましたが、実は引き足は必要ないのではという考え方が最近の説です。
もちろん反対側のペダルを下に回すために働いている筋肉の働きを阻害しないために、脚を持ち上げる必要はあるのですが、ペダルを下から上に回す時に発生するパワーの出力は大したことないのです。

ここでロードバイク用のシューズについて考えてみましょう。
今のロードバイク用のシューズのソールは殆どがカーボンや硬いナイロン素材等硬い素材でできています。これはペダリング時にペダルを上から下へ回す時にパワーをロスすることなく、ペダルにパワーを伝達させるためにソールが硬い素材になっています。
しかし、脚の甲側は柔らかい素材が使われています。もし、引き足でペダルにパワーを伝達させる必要があるなら脚の甲側にも硬い素材を使用しないと効率よくペダルにパワーを伝達できません。パワーモニターを持っていて、ペダリングのパワー出力を確認できる機器を持っている方なら理解してもらえると思いますが、ペダリングモニターの矢印が上を向くことはほとんどありません。
つまり、ロードバイクに乗っている時のペダリングで引き足というのは、出力的にはペダルを上から下に回すパワーに比べたらお話にならないレベルなのです。

片足ペダリングのトレーニングは必要か

前述した通り引き足によるパワーの出力は、ペダルを上から下に回す時に出力するパワーに比べると遥かに小さいということは理解していただけたでしょうか。
では、よくローラー台でトレーニングする時に片足ペダリングするというような内容の記事を雑誌やネットで取り上げられていますが効果はないのでしょうか。
片足ペダリングは効果が無いわけではありません。それは普段あまり鍛えることができないハムストリングスを鍛えるのに効果があります。
両足でペダリングしていると、無意識にペダルを上から下に回す時にパワーをだしてしまうので、ペダルを下から上へ回す時に使う筋肉はあまり使われません。
そのため、片足ペダリングでペダルを下から上へ回すことを意識することでハムストリングスを鍛える事ができ、結果として脚全体の筋肉を強化する効果を見込むことができます。

神経を増やして筋肉の働きをコントロールする

ペダリング時における股関節と膝関節の伸展と屈曲の動きと、それに伴う筋肉の働きについては理解していただけたでしょうか。
かなり専門的な話になってしまったので文章だけでは伝わりにくい部分もあったと思います。
しかし、各筋肉の働きを理解して意識することでペダリング効率を高めることができます。
それは、ペダルを回す時に大臀筋、ハムストリングス、大腿四頭筋、内転筋群に意識を集中することで、各筋肉への神経を増やすことができるのです。

パソコンのタイピングを例に取ってみましょう。パソコンのタイピングは始めからできるものではありません。各キーを脳の中で意識することで、指はどの位置のキーをタイピングするということを繰り返し練習することで脳で考えたキーを指でタイピングすることができるようになります。
これは指に繋がっている筋肉が脳で考えたキーをタイピングする動きを覚えて神経が増えたことにより指がキーをタイピングできるようになります。

脚の筋肉にも同じことが言えます。脚の筋肉の動きを脳の中で繰り返し意識することで脚の筋肉へ繋がる神経を増やすことができます。脚の筋肉への神経を増やすことができれば、脚の筋肉の動きをより細かくコントロールすることができるようになります。
つまり、ペダルを回す時に脚のどの筋肉を使ってペダルを回すかということを、より細かくコントロールすることができるようになるのです。
普段は無意識にペダリングしていると思いますが、その無意識を脚の筋肉へ集中させることで脚の筋肉への神経は確実に増やすことができ、それにより脚の筋肉のどの部分を使ってペダリングするかをコントロールすることができるようになります。

トレーニングは安全な室内で行いましょう

本記事の冒頭でも注意喚起しましたが、この脚の筋肉へ意識を集中して脚の筋肉へ繋がる神経を増やすトレーニングは必ず安全な室内やローラー台で行うようにしてください。
かなり脚の各部分に意識を集中させないといけないため、屋外で周囲に注意を向けないといけないシチュエーションでは、このトレーニングを行うのは危険が伴います。

本記事を読んで脚の筋肉を効率よく使うためにトレーニングしようと思った方は、この機会にローラー台の導入をおすすめします。
室内で安全な環境ならば、100%脚の筋肉の働きに意識を集中することができます。
そして脚の筋肉へ繋がる神経が増えて、脚の筋肉のコントロールができるようになった時、あなたのペダリングは確実に効率が良くなり脚の筋肉も無駄な動きをすることなく効率よくロードバイクを走らせることができるようになるはずです。

脚の筋肉の働き方が理解できたら実践編としてペダリング時に使う筋肉の切り替え方をマスターしましょう。

サドルの位置によって使う脚の筋肉が変わる
サドルの位置を調整することでも使う脚の筋肉が変わってきます。サドルの高さと前後の位置を自分のライディングに合わせて調節することで効率よく脚の筋肉を使うことができるようになります。

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