Last Updated 2020.12.22
リア32Tワイドレシオギア化で坂道を楽に登る
ロードバイクは昔はリアのギアが軽くても23Tという時代があり、フロントのギアをインナーに入れてリアも一番軽いギアにいれても走力が無い人が坂道を登るにはかなりきつい状況でした。
それが最近ではフロントに34Tとリアに28Tのギアを標準で装備する完成車が増えて、このギア比でもかなり坂道を登るのが楽になってきました。
しかし、ヒルクライムレースやプロのロードレーサーが山岳ステージに挑戦する時には、28Tよりさらにギア比が軽い32Tのリアギアを導入することが増えてきて、一般ユーザーの間でも32Tのワイドレシオ化が密かにトレンド化しつつあるようです。
自分のロードバイクに付いているギアを確認しよう
リアスプロケットをワイド化する前に、まず自分のロードバイクにはどんなギア比が使われているか確認しましょう。初心者向けのロードバイクのモデルには大抵ある程度坂道も登れるようにフロント50-34Tのコンパクトクランクと呼ばれるフロントギアとリアは11-28Tの現在標準的なギアで構成されていると思います。
デュラエースコンポーネントを搭載しているようなフラッグシップモデルでは、フロントは52-36Tリアは11-25Tと初心者では坂道を登るには結構な走力が必要になるギアが搭載されています。
もし、フロントギアのギア比が52-36Tの少し重めのギアが搭載されていると、リアをワイドレシオ化したとしても坂道であまりペダルの軽さの恩恵を受けることができないので、フロントも50-34Tのコンパクトクランクに換装の必要があるかもしれません。
ギア比はあくまでもフロントのギアとリアのギアの組み合わせによるギア比で考えないといけないので、最近ワイドレシオ化がトレンドだからといってリアスプロケットだけワイドレシオ化してしまうとヒルクライム仕様なのか平地仕様なのかどっちつかずな中途半端なギア構成になってしまうので注意が必要です。
ワイドレシオギア化するメリット
リアスプロケットを32T化するメリットは一言で坂道を軽いペダリングでクルクル回して登れるようになることです。
ギア比が軽くなるので同じケイデンスだと28Tで登るより速度は遅くなります。28Tと同じ速度登るためには少しケイデンスを上げて登ることになります。
ペダルを踏む力は弱いけどケイデンスを上げてペダルをクルクル回して登るのが得意な方にはマッチする方法と言えます。ケイデンスが上がると心拍は上がる傾向にあるので、ある程度心肺機能が強い人向けのカスタムと言えます。
ロードバイク初心者で坂道を登るのが辛いからと安易に32Tのワイドレシオギアにしても逆にすぐに心拍が上がってしまって結局登るのが辛いなんてことにもなりますので、まずは今搭載されているリアスプロケットが28Tならそのリアギアである程度ヒルクライムの練習をして、その上で脚力を温存したいとという目的でワイドレシオのリアスプロケットを導入するというが正しいワイドレシオ化の考え方になるかなと思います。
ワイドレシオギアするために必要な物
リアスプロケットに32Tギアを導入するためにはリアスプロケットを32Tのギアを入れるだけでは対応できません。
最近のロードバイクに搭載されているリアディレーラーが32Tの大型リアスプロケットに対応していないのです。
リアスプロケットに32Tギアを導入するためには以下3つの部品交換が必要になります。
- 11-32Tリアスプロケット
- ロングケージリアディレーラー
- 11速用チェーン
11-32Tリアスプロケット
まずは32Tに対応したリアスプロケット一式が必要です。
シマノからアルテグラと105グレードで11-32Tのリアスプロケットが販売されています。
11-32Tギア構成 | 11-12-13-14-16-18-20-22-25-28-32 |
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11-28Tギア構成 | 11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28 |
11-32Tと11-28Tのギア構成の比較ですが、中間のギア構成で11-32Tだと歯数が2つづつ飛んでいます。
これは何を意味するかというと平地走行の時に微妙な起伏がある時に、シフトチェンジするとギア比の変化が大きいため一定のケイデンスを維持するのが少し難しくなります。
脚への負荷も歯数2つ違うので平地巡航する時に適切な負荷で、脚に負担がかからない程度のケイデンスを維持するのが難しくなると思われます。
11-32Tは坂道でペダルが軽くなり登るのが楽になるとメリットがありますが、逆に平地ではこまめなギアチェンジで一定のケイデンスを維持して巡航するのは難しくなるというデメリットがあるといえそうです。
登りが多いサイクリングをする時やヒルクライムレースに出るといった場面では11-32T、普段のサイクリングでは11-28Tギアにするといった使い分けが必要かもしれません。
また、リアスプロケットを交換するためにはホイールからスプロケットを外したり付けたりするための専用工具も必要になります。自分で交換する時には上記のような工具も用意しましょう。
ロングケージディレーラー
リアディレーラーにはキャパシティといって、最小ギアと最大ギアの使用できるギアの範囲が設定されています。
通常の完成車に搭載されているリアディレーラーは最大で28Tまでのギアに対応できるショートケージと呼ばれるリアディレーラーが搭載されていて、11-32Tのリアスプロケットを交換するとリアディレーラーもロングケージと呼ばれるリアディレーラーに交換する必要があります。
チェーン
リアスプロケットを11-32Tにするとチェーンの長さも数コマ長さが必要になるので、チェーンの交換も必要になります。チェーンの長さに余裕がある場合チェーンの交換が不要になるケースもありますが、大抵の場合はチェーンの交換が必要になりますので念のため用意しておきましょう。
チェーンの交換の時にはこういったミッシングリンクがあるとチェーンの交換が少し楽になります。
ワイドレシオ化するタイミング
リアスプロケットをワイドレシオ化するタイミングは、ある程度ロードバイクに乗るようになって自分がロードバイクに乗るシチュエーションが決まってきてからでも遅くはないと思います。
ヒルクライムの楽しさに目覚めて、よくヒルクライムレースに出場するというような方はワイドレシオ化するメリットがありますし、ブルベでも後半の峠で楽に登りたいというような方にもワイドレシオ化はメリットになるでしょう。
しかし、普段のサイクリングで多くの坂を登るというような場面はそんなに多くはないと思いますし、ロードバイク初心者だからといってすぐにワイドレシオ化するというのはちょっと待ってと思います。
ロードバイクを買ったばかりの初心者でしたら、まずは1年くらい色々走り回ってみて自分のロードバイクの乗り方の方向性が決まってから、チェーン交換等のメンテナンスついでにワイドレシオ化を検討してみるのがいいでしょう。
1年もロードバイクに乗り続ければ、走力もそれなりにつきますし11-28Tでもそこそこの坂道なら登れるようになると思います。雑誌や周囲のトレンドに流されてワイドレシオ化が良いんだと思い込まず、自分のロードバイクに乗るスタイルが見えてきてからワイドレシオ化を考えてみましょう。
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