Last Updated 2017.04.25
ロードバイクのクリンチャータイヤ
ロードバイクに乗り慣れて毎週のように走っているといつの間にか、タイヤがすり減ってしまっていてそろそろ交換しないといけないなという方も多いと思います。
ロードバイク初心者の頃よりもスピードを出せるようになり、ロードバイクのコントロールも上手くなっていると思います。
購入した完成車についているタイヤから市販のグリップの良いタイヤに交換すると、乗り心地やグリップ感等色々と違いがわかると思います。
最近のクリンチャータイヤは開発競走が激しく2016年は、クリンチャータイヤのモデルチェンジが相次ぎ各社レースモデルからエンデュランスモデルまで様々な種類のタイヤがモデルチェンジしました。
完成車についていたタイヤもそろそろ摩耗してきて、交換時期にきた方は今一度クリンチャータイヤの知識について勉強して次に交換するタイヤを決める指標にしてもらえたら幸いです。
タイヤの性能を決めるTPIとは
ロードバイクのタイヤの性能を決める上で、まず知っておきたいのはTPIという用語です。
TPIとはThread Per Inch スレッドパーインチの略で、ケーシングの1インチ(2.54cm)あたりの繊維の総量を意味します。ケーシングはタイヤを構成する繊維の集合体でケーシングの多さと素材によってそのタイヤの性能が決まります。ケーシング素材は一般的にはナイロンが多く、レースユースのハイグリップタイヤでは独自の素材を使用していたり、アラミドという素材を使用しているタイヤもあります。
TPIがどのようにロードバイクの走りに影響するかというと、一般的にTPIが高くなればなるほどタイヤ自体がしなやかかつ軽量になり、転がり抵抗も少なくなるため走りが軽快になります。その代わりに耐久性は低くなる傾向があります。耐久性自体はタイヤと地面が接する接地面のコンパウンドの柔らかさや素材によっても変わるので一概には言えませんが、TPIが高いタイヤ=ハイグリップで耐久性が低いという傾向は変わりません。
完成車についているタイヤからTPIの高いハイグリップタイヤに交換するとコーナリング時のグリップや転がり感等の違いを体感しやすいと思います。
タイヤメーカーで有名なヴィットリアによると、タイヤの耐久性、転がり抵抗、グリップ力、乗り心地において一番バランスが取れているのは150TPI前後のものであると公表しています。これからタイヤを交換しようと思っている方もタイヤの性能を見る時にこのTPIという数値に注目してみてください。
レース用途でハイグリップのタイヤならTPIが300以上の高密度のTPIのハイグリップタイヤ
ロングライド用途で耐パンク性能や耐摩耗重視のタイヤなら150TPI前後のバランスの取れたタイヤ
といった感じで選んでみると良いでしょう。
乗り心地とグリップを決めるコンパウンド
TPIに次いで注目するのはコンパウンドです。
コンパウンドはタイヤと路面が接地する部分のゴム素材です。このコンパウンドはメーカー各社開発競走が激しく独自のコンパウンドを開発していて統一した規格というものがありません。
コンパウンド素材によってタイヤの性質が大きく変わってきます。
一般的にコンパウンドが硬いとタイヤの接地面の変形が少ないので、転がり抵抗は低くなり耐摩耗性が高くなります。反対に柔らかいコンパウンドだとグリップ力が高くなり乗り心地は良くなりますが、摩耗しやすくタイヤの寿命は短い傾向になります。
タイヤの性能を見る上で注目するのは前述したTPIとコンパウンドでレース用途のハイグリップタイヤか耐摩耗性の高いロングライド向けタイヤかを判断したりします。
中にはTPIが高いのにコンパウンドは硬い素材を使用して、ロングライド向けの耐パンク性・耐摩耗性の高いタイヤもあったりします。そういったタイヤはTPIが高いことで転がり抵抗やタイヤ自体のしなやかさを高めつつ、コンパウンドに耐摩耗性の高い素材を使用することでロングライドでも使用できるオールラウンド向けのタイヤに仕上げていると言えます。
2017年のトレンドは700×25Cのタイヤ
ロードバイクのタイヤサイズは長年700×23Cという細いタイヤが主流で、完成車やロードバイクのプロショップでも700×23Cのタイヤを取り扱っているのが一般的でした。
しかし、2017年になってタイヤサイズが700×25Cに一気に主流が移行しました。
これは近年のレースシーンで700×25Cが使用されていることや、700×23Cサイズのタイヤと700×25Cタイヤの転がり抵抗を比較すると同じ条件化では700×25Cの方が理論上転がり抵抗が少なく走行性能が高いということで、一気に700×25C化が進みました。
タイヤサイズが700×25Cになることで、タイヤ自体の重量増による足元重量の増加やタイヤの面積が増えることによる空気抵抗の増加といったデメリットもありますが、ロードバイク各メーカーやホイールメーカーもホイール自体ワイドリム化して700×25Cに最適化されたホイールを発表しているので、今後700×23Cを使用し続けることは難しくなってきます。
これからホイールを購入することを検討している方やタイヤ交換を考えている方は、700×25Cタイヤを軸にタイヤを選ぶ方が良いと思います。
700×23Cのタイヤがすぐに使えなくなるということはありませんが、ホイールを買い替えた時にワイドリムのホイールで700×23Cサイズのタイヤが対応していないという場面に合う可能性が高くなります。
私自身700×23Cサイズのタイヤは、よほどの拘りがない限りは使い続けるメリットは無いと思っています。ロードバイク初心者の方ならなおさらでタイヤは太い方が乗り心地も良いですし、コーナリング時も安定してバイクを傾けることができます。
レースシーンで700×25Cのタイヤが使用されているなら、今後は700×25Cサイズのタイヤの開発競走が活発化してより良いタイヤが出てくると思いますし、ユーザーは今から700×25Cタイヤに移行して新しいタイヤに慣れておくほうが先々メリットがあると思います。
ロードバイクのタイヤコラム
ロードバイクのタイヤに関する疑問、トレッドパターンの意味やタイヤサイズの違いについて。
タイヤの空気圧のセッティングやタイヤの寿命についてまとめていきます。
トレッドパターンの意味
ロードバイクのタイヤは毎年新たな技術が投入されて、性能が向上していますがロードバイク初心者が疑問に思うのはタイヤメーカーによってタイヤの溝、トレッドパターンがあったりなかったりとメーカーによってバラバラで、トレッドパターンはあったほうが良いのかどうかという点です。
スリックあり、ヤスリ目あり。独特の模様を描いているものも多いです。
各社のタイヤのトレッドパターンはバラバラで様々なトレッドパターンのタイヤが混在していますが、トレッドパターンに意味はあるのでしょうか。
パナレーサーの技術担当者曰く、ロードバイクのタイヤのトレッドパターンはデザイン要素が強く、ウェット路面でもロードバイクの荷重や速度域によってタイヤのトレッドパターンによる排水効果は見込めませんとのこと。
昔は自転車のタイヤの中央部に溝が無いと使用してはいけないみたいな法律があった記憶がありますが、最近のロードバイクのタイヤはほぼスリックでサイドにトレッドパターンがあったりしますが、このトレッドパターンはあくまでデザイン要素が強くウェット時のグリップを高める効果があるわけではないそうです。
自分のロードバイクのタイヤはサイドにトレッドパターンがあるからウェット時のグリップも問題ないと勘違いしないようにしましょう。
タイヤサイズの違いによる乗り心地の変化
最近はタイヤの銘柄が同じでも、23C・25C・28Cと複数の幅のサイズが展開されていることが多いですが、このタイヤの幅はどのような基準で選べばいいのでしょうか。
タイヤのサイズ(幅)は太くなればなるほど、エアボリュームが増えるので、乗り心地は良くなります。走破性も高くなる傾向にあります。タイヤ幅の変化はサスペンションの能力として捉えると分かりやすい例えになります。
23Cから25Cへの変化で、サスペンションのストローク量が約1mm増えると言い換えることができます。25Cから28Cへの変化でサスペンションのストローク量がさらに約1mm増えることになります。
また、タイヤを太くすると負荷能力も大きくなります。空気圧が一定だとすると、タイヤを1サイズ太くするごとに20%~30%重い物を運ぶことができるようになります。
タイヤの空気圧について
タイヤにはメーカーごとに推奨空気圧が設定されていて、タイヤの側面に8bar~10barというようにタイヤの推奨空気圧が設定されています。タイヤの空気圧は推奨空気圧以下で乗っても問題ないのでしょうか。
タイヤの空気圧を低圧にするデメリットは、タイヤの寿命が短くなること、リム打ちパンクのリスクが高くなること等があります。一方で乗り心地が良くなる、安定感が増すといったメリットもあります。推奨空気圧を外れたセッティングについては、自己責任ということだそうです。
最適な空気圧はどのように決めればいいのでしょうか。
体重によって空気圧を変えるべきという意見もありますが、体重別に空気圧を変えるのは正しいのでしょうか。
メーカーでは体重によって目安になる空気圧を設定していません。
そもそも空気圧は、体重によってではなく個人の好みやタイヤの性格、使用用途によって変えるべきで、同じ体重でもソフトな乗り心地が好きな人からガチガチに固くしてスピードを出したい人まで、様々な人がいます。
同じタイヤサイズ、同じ空気圧にしたとしても、タイヤの銘柄が違うとタイヤの構造上、固さが異なります。目的によっても最適な空気圧は変わると考えられています。ロングライドとヒルクライムでは、タイヤに求める性能が違うように空気圧も推奨空気圧内で目的に合わせて空気圧を調整するのが正しい空気圧のセッテイングと言えるようです。
タイヤの寿命と劣化について
タイヤはゴム製品のため寿命と劣化という宿命があります。
タイヤの経年劣化とは具体的にどの部分がどのように低下していくのでしょうか。
タイヤはどんな環境下であっても、ゴムは時間が経つにつれて少しづつ劣化していきます。性能として低下するのは主にグリップ力ですが、経年劣化によってタイヤ全体が破壊されていきますので、摩耗性能や耐パンク性能も低下することになります。
同じロードバイク用タイヤでも種類によって寿命の差はあるのでしょうか。
ロードバイク用タイヤの中でも特にハイグリップタイヤはメーカーによって違いはありますが、一般的に半年程度が寿命になります。短いように思われますが、メーカーはハイグリップタイヤは何よりもグリップ力が重要な要素のため、経年劣化によるグリップ力の低下を考慮して寿命を半年とアナウンスしているようです。
ロングライド向けの耐摩耗性や耐パンク性能が高いモデルでは、メーカーによりますが寿命はおよそ1年程度とアナウンスしているようです。これはコンパウンドに耐久性の高い素材を使用しており、ハイグリップタイヤよりはグリップ力を要求されないため経年劣化を考慮しても1年と長いスパンで寿命を設定できるようです。
インナーチューブの寿命については、特にメーカーは寿命を定めていませんが、チューブも経年劣化しますのでタイヤ交換するタイミングでインナーチューブも交換することを推奨するというスタンスのようです。
知っているようで知らなかったタイヤの世界
今回ロードバイクのクリンチャータイヤについてまとめてきましたが、いかがだったでしょうか。
私もタイヤについて色々調べて、TPIだったりコンパウンドであったりと知らない事を知ることができました。今後のタイヤ選びの指標のひとつとして参考になることばかりでした。
タイヤの空気圧についてもメーカー推奨空気圧内で、乗り方によって空気圧は変えるものというのは意外でした。
一番勘違いしていたのはトレッドパターンの有無によって、排水性があると思っていたことでした。
オートバイに乗っていた経験からサイドにトレッドがある方が排水性があってウェット時のグリップがあると思い込んでいましたが、ロードバイクにおいてトレッドパターンは全く意味が無いというのには驚きました。
雨天時にサイドにトレッドがあるから大丈夫と思い切りバイクを倒しこんで、スリップダウンしないように気をつけないといけませんね。
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