Last Updated 2020.12.24
雨は想像以上にロードバイクにダメージを与えます
GWを過ぎるといよいよ梅雨時。ロードバイクの天敵雨の季節がやってきます。
雨は晴れの日と違い、雨水などによる影響でロードバイクの消耗が激しくなります。
具体的には、雨水で油が流されてしまい、必要な潤滑ができずに金属部分が摩耗する、ブレーキパッドの摩耗、雨水の影響でゴムが裂けやすくなりタイヤが消耗するといった症状が起きます。
消耗が激しいということは、それが汚れとなりロードバイクの表面に露出します。つまり汚れがひどくなるのです。そして、もう一つはタイヤが砂など各種の異物を路面から巻き上げてロードバイクに悪影響を与えます。さらにはフレームやパーツの中に雨水が残ることで、腐食や傷みを進行させてしまいます。
こうしたロードバイクに対して極悪な状況を、いち早く脱するためにも雨天ライド後のメンテナンスが重要になってきます。できるだけ早い段階で、ロードバイクに付いた悪影響を与える物質を取り除くと、その後のメンテナンスが楽になり、ロードバイクの傷みの進行を遅らせて無駄なパーツの消耗や交換の出費も抑えることができます。
雨天走行の後はどこが汚れやすいのか
雨天走行後に汚れやすいのは、車輪が路面の水分や砂、泥等を巻き上げるロードバイクの裏周りの部分。具体的にはダウンチューブ下側、前後ブレーキ周り、ボトムブラケット周り、シートチューブからシートポストの裏側、サドルの裏側。その他チェーン、ホイール周りの汚れもひどくなります。
お風呂場やベランダで真水で洗い流す
一番手っ取り早く、雨水を洗い流す方法はお風呂場やベランダで水道による真水で車体を洗い流すことです。雨水は酸化した水のためロードバイクのパーツを腐食させますが、水道の水は中性なので酸化した雨水を真水で洗い流すことで酸化成分を洗い流すことができます。
この時ホイールは前後外して、シートポストも抜いてフレームの中も洗浄してあげるのがベストです。
フレームの中にワイヤーが内蔵されていると、フレームの中に侵入した雨水によってワイヤーが錆びやすくなります。これを真水で洗い流すことで錆を防止します。
同様にホイールも真水で洗いましょう。シャワーで軽く雨水を落とす程度であまり水圧は必要ありません。水圧が高いとホイールのベアリング内のグリスまで洗い流してしまい後でグリスアップが必要になってしまいます。適度な水圧のシャワーでホイール全体を洗い流すだけで問題ありません。
フレームを逆さにして水分を落とす
真水でフレームとホイールを洗い流したら、フレームを逆さにしてフレームの中の水分と外側に付いた水分を落としましょう。乾いたウェスで付着した水分を拭いてあげると早く乾かすことができます。シートポストを抜く時は、シートの高さを忘れないようにビニールテープ等を巻いて目印をつけておきましょう。フレームを逆さにして水分を落としている間に、シートポスト内部やサドルの裏側、シートクランプ周りの汚れを落としておきましょう。シートチューブ内部はフレーム内の水分がある程度落とすことができたらウェスを突っ込んでシートチューブ内部の汚れを落としましょう。
シートポストの汚れを落としたら、シートポストにグリスを塗布して指でまんべんなく延ばしましょう。
フレームの水分と汚れをウェスで取り除く
トップチューブなど比較的汚れの少ないロードバイクの上周りから作業を始めます。拭き取り用のウェスを使って水分と汚れを取り除いていきます。フォーククラウンとブレード内側、シートステーのブレーキに近い部分は、ブレーキパッドの削りカスが水とともに流れ出て汚れやすい部分です。その他前後ブレーキとパッドまわり、サドルの裏側、シートチューブ背面なども汚れが付着しやすいので念入りに拭いていきましょう。
裏周りの汚れ落とし
ダウンチューブ裏やボトムブラケット裏等、いわゆる裏周りと呼ばれる部分は、ロードバイクを逆さにすると楽に作業できます。ダウンチューブ裏側からボトムブラケット周り、チェーンステーにかけて汚れが付着しやすい部分をウェスで拭き取っていきます。
ブレーキパッドをチェックする
雨天走行ではブレーキパッドにリムのアルミカスや砂などがめり込むことも多いです。ブレーキを掃除する時は、必ずブレーキパッドの当たり面に目をやり、異物がないか確認しましょう。異物があったらピック等先の鋭いもので取り除いておきましょう。
油汚れはディグリーザーかパーツクリーナーで落とす
ボトムブラケット周りやチェーンステー、右側リアエンドなど油汚れがひどい場所には、油を落とす成分を含んだディグリーザーかパーツクリーナーを使用します。ウェスは拭き掃除用とは別に油落とし用のウェスを用意して、ウェスにディグリーザーかパーツクリーナーを吹き付けて汚れを拭き落としていきましょう。
ネジ頭には注意
六角レンチなどを差し込むネジの頭は、へこんだ部分に雨水が溜まりやすく錆びやすいです。特にヘッド部分のトップキャップ、ボトルケージの固定ボルトなどは要注意です。ネジの頭に強く息を吹きかけるなどして水気を飛ばして、後に微量のオイルを直接もしくは綿棒を使って塗布します。錆びないチタンボルトやステンレスボルトに交換するという方法もあります。
ホイールをチェックする
ホイールについては真水で予め水洗いしたらウェスで、リム、スポーク、ハブ部分を水分を拭き取っていきましょう。この時ウェスに水分を含ませてタイヤ表面と側面の汚れも取り除いていきます。
その際、タイヤのトレッドやサイド部分に異物が刺さっていないか、切れていないかも確認していきます。リムサイドはブレーキパッドのダストで特に汚れがひどい部分です。しっかり水拭きしましょう。エアロタイプのホイールはリム内に水が入ることが多いです。その時はバルブを上側にしてホイールを数回ゆすることで水分がバルブを通して抜けてきます。これをリム内の水がなくなるまで繰り返します。
チェーンとスプロケットの洗浄
チェーンの洗浄は人によって違うと思いますが、ディグリーザーかパーツクリーナーを使用してチェーンに付着した雨水を綺麗に落としていきましょう。普段チェーンのメンテナンスをするのと同じ工程で問題ありません。スプロケットもスチールなので雨水が付着しているとサビの原因になります。パーツクリーナーを拭いたウェスで1つ1つの歯に挟み込むようにしてスプロケットを掃除していきましょう。
クイックリリースの汚れに注意
普段掃除することのないクイックリリースですが、雨天走行した時はクイックリリースも綺麗に洗浄しましょう。ホイールからクイックリリースを抜き取り、レバー側のハウジング内に入った水分を取り除きます。内カム式のクイックリリースの場合、ハウジング内のカム部分、ハウジングとレバーの付け根にオイルを軽く塗布します。後に数回レバーを動かしてオイルを行き渡らせましょう。カムが露出しているタイプの場合は、レバーの付け根に軽くグリスを塗布して、レバーの可動部にも少量オイルを垂らします。クイックシャフトはグリスを塗布したあと、指でネジ部分も含めて全体に延ばして広げます。これだけでクイックリリースはかなり長持ちします。
携帯ポンプ
携帯ポンプをフレームに取り付けた状態で雨天走行していると、シリンダー内部に雨水が溜まることがあります。そのままにしておくとシリンダーやピストン等の金属部分がサビたり、パッキンが劣化して肝心な時に使い物にならない事態になることもあります。必ずバイクから取り外してウェス等でピストン部分を拭くなど水気を除去しておきましょう。シリンダー内に雨水が入ってしまった場合は、ピストン部分を抜いてウェスで内部を乾かしましょう。後にパッキン部分に適量のグリスを塗って元に戻します。
サドルバッグと携行品
サドルバッグが防水仕様であれば問題ありませんが、サドルバッグが防水仕様でない場合はサドルバッグ本体とサドルバッグ内の携行品もしっかり洗浄して乾かしておきましょう。特に携帯工具はスチール製だとサビの原因になります。予備チューブやパンク修理パッチも濡れたままでは使い物になりませんのでしっかり乾かしておきましょう。
サドルバッグ本体は、中性洗剤と水を含ませたウェスで拭き掃除してから乾かすことでサドルバッグの傷みを防止することができます。
ヘルメット
ヘルメットのインナーパッドは、汗や雨水で濡れたままにしておくと、スポンジ部分が加水分解して弾力を失ってしまいます。そこでヘルメットからパッド類を外して水洗いした後、絞るなどして水気をしっかり切ったら、風通しの良い所で陰干ししましょう。汗などで白くなったストラップ部分は、ブラシを使って洗います。ヘルメット本体は乾いたウェスで水分を拭き取るだけで問題ありません。
ロードバイクのメンテナンスにおすすめのアイテム
雨天走行した後のロードバイクのお手入れは、普段からメンテナンスしていたとしても雨水の影響を考えて普段以上に色々な箇所に気を使います。ブルベ等雨天でも頻繁に走行する方は雨天走行後のメンテナンスのためにウェスや掃除アイテムを揃えておくと雨天後のメンテナンスが捗ると思います。
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