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自転車活用推進法でロードバイクは走りやすくなったのか

Last Updated 2017.06.28

自転車ナビルートは確実に増加しかし課題もまだまだ

自転車活用推進法でロードバイクは走りやすくなったのか
2016年末に国会で可決された自転車活用推進法。自転車乗りにとっては画期的な法律でこの自転車活用推進法の可決で、警視庁も2020年の東京オリンピックまでに100地区に自転車用走行路、自転車ナビルートを設置すると発表しました。自転車活用推進法とはどのような法律なのか。また、この法律によってどんな事が変わっていくのかということをまとめていきます。

自転車ナビルート設置2020年までに100地区拡大へ
警視庁は2020年の東京オリンピックまでに100地区に自転車用走行路、自転車ナビルートを設置すると発表しました。日本は自転車の公道走行するのに道路が狭くて危険な目に遭ったり事故がまだ多い印象ですが、自転車ナビルートによって自転車で公道走行しやすい環境になると良いなと期待しています。

自転車活用推進法とはどんな法律か

2016年末に衆議院と参議院で全会一致で可決された自転車活用推進法ですが、実際どのような法律なのでしょうか。

自転車活用推進法 抜粋
第二章 自転車の活用の推進に関する基本方針
第八条 自転車の活用の推進に関して、重点的に検討され、及び実施されるべき施策は、次に掲げるとおりとする

  1. 良好な自転車交通網を形成するため必要な自転車専用道路、自転車専用車両通行帯の整備
  2. 路外駐車場の整備及び時間制限駐車区間の指定の見直し
  3. 自転車を賃貸する事業の利用者の利便の増進に資する施設の整備
  4. 自転車競技のための施設の整備
  5. 高い安全性を備えた良質な自転車の供給体制の整備
  6. 自転車の安全な利用に寄与する人材の育成及び資質の向上
  7. 情報通信技術等の活用による自転車の管理の適正化
  8. 自転車の利用者に対する交通安全に係る教育及び啓発
  9. 自転車の活用による国民の健康の保持増進
  10. 学校教育等における自転車の活用による青少年の体力の向上
  11. 自転車と公共交通機関との連携の促進
  12. 災害時における自転車の有効活用に資する体制の整備
  13. 自転車を活用した国際交流の促進
  14. 自転車を活用した取組であって、国内外からの観光旅客の来訪の促進、観光地の魅力の増進その他の地域の活性化に資するものに対する支援
  15. 前各号に掲げるもののほか、自転車の活用の推進に関し特に必要と認められる施策

自転車活用推進法の画期的なポイント

自転車活用推進法でポイントとなるのが、自転車は社会の役に立つと定義されているところです。環境負荷の低減や災害時における交通機能の維持、健康増進、そして交通が混雑緩和に役に立つことやコンパクトシティ化等、今後の交通システムへの役割等。こういった事をまとめて自転車は国家として活用を推進すべきものとしました。今まで自転車がこんなに役に立つものなのですよと定義した法律はありませんでしたので、自転車の役割について明確に定義した法律はとても画期的なものです。
何をしたら罰則があるという規制法ではなく、基本的にはこうしたら良いという理念法と呼ばれる性格の法律です。この法律によって自治体の取り組みに弾みが出てくるでしょう。例えば自転車専用レーンを敷こう、自転車競技施設を造ろう等という時、自転車活用推進法の第四条地方公共団体の責務に基づきと言えるようになります。これは自転車専用レーンの整備や自転車競技施設の整備を後押ししてくれます。国家として自転車の活用推進に取り組んでいるさなか、我が自治体は何をすべきかといった具合に各自治体が動いてくれるわけです。

自転車活用推進法で変わる未来

自転車活用推進法は2017年6月から施行されましたが、この法律によって具体的にどんなことが変わるのでしょうか。自転車活用推進法にの施行によって変わる未来は以下のようなことが期待されます。

自転車専用通行帯が拡大

自転車道、自転車レーンを問わず、自転車の走行空間は増大することになります。(第二条第三項)しかも、それは必ず交通の安全の確保を図りつつ増大されることになるので、歩行者に迷惑をかけないような形で、安全に広がることが期待されます。

自転車競技施設が増える

これは特に東京オリンピックを見据えての条項で第八条第四号に自転車競技のための施設の整備があります。スポーツという手段を利用して、国民に自転車というものを浸透させる目的があります。ここには民間の企業も積極的に関わるべきでしょう。

自転車通勤が広く認められる

ツーキニストとしてはこれはとても喜ぶべきことではないでしょうか。第五条に(事業者は)自転車の活用の推進に関する施策に協力するよう務めることが定められています。今後はより一層自転車通勤を推奨する会社が増えることになるのが期待されます。

学校で教育科目になる

これには2つの意味があります。第八条第八号の交通安全に係る教育及び啓発と同十号学校教育等における自転車の活用による青少年の体力の向上です。つまり学校教育内の時間を使って安全と健康を改善させようという試みが行われるということです。

海外サイクリストとの交流が活発になる

海外のサイクリストとの交流についてもきちんと法律で定められました。第八条の第十三号と第十四号に自転車を活用した国際交流と観光客来訪の促進があります。自転車による国際交流です。ブルベでは既に海外参加者枠が用意される等、海外サイクリストとの交流は盛んですが、これを一般に広く広めようと定められました。普通にサイクリングしていたら前を走っていたのは外国人だったという世の中も近いのかもしれません。

自転車を使った観光が活発になる

インバウンドだけではありません。国内からの観光客に対しても観光地の魅力アップのために自転車を活用すべしとあります。そこに公共交通機関は支援をしなければならないとあります。レンタルサイクルかシェアサイクルか、自転車専用レーンか、駐輪場なのか、あるいはその全てなのでしょうか。いずれにしても地方の観光地も自転車を活用した観光地PRが活発化することが期待されます。

サイクリストとしての疑問

2017年6月に自転車活用推進法が施行されましたが、具体的に何がどう変わるのでしょうか。一般サイクリストの思うであろう疑問をまとめてみました。

車検や免許が導入されるのでしょうか

今のところは車検や免許の導入はありません。
ただし、第八条第五号の高い安全性を備えた良質な自転車の供給体制の整備というのは、結構重要な項目で、安かろう悪かろうの安いママチャリ、自転車の低いクオリティの起因の事故や車の一部代替になり得ない低性能の自転車や自転車の整備不良は、事故を減らす障壁になっていて、車検のようなものが導入される可能性はなくはありません。また、歩行者と自転車の事故による賠償補償額の高額化によって、今後自転車保険の加入が義務化される可能性はあります。事実一部自治体では条例で自転車保険の加入義務が条例で可決された自治体もあります。

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自転車が走れない車道が増えるのか

むしろ逆で自転車の走行空間が増えます。
自転車の走行空間を増やすべく、自転車レーンが車道に設置されることが多くなると思いますが、車の走行が多い幹線道路等になると、オランダ型の構造分離型自転車道の設置が求められることになるかもしれません。その場合、自転車はそこしか走れないため、一見自転車が走れない路線が増える結果に見えるかもしれません。より使いやすい路線にするために行政に色々と提案していく必要があるかもしれません。

道路交通法との違いは何か

罰則を持つ規制法と理念法の差です。
道路交通法は危険行為を排除するために何をしてはならない、何をしたら罰せられると定めた法律です。これに対して自転車活用推進法は、公的機関、民間、個人を問わずにより良い社会構築のためにこうするべきと定めて、文字通り自転車の活用を推進するための理念を定めたものです。法に定められた責務が、個人というより主に公的機関に課せられるのも特徴の一つでしょう。

輪行はもっと楽になるのでしょうか

輪行はもっと楽になるでしょう。
輪行に関しては自転車議連の代議士がしきりに強調しているのですが、ヨーロッパ諸国のように、自転車をそのままの形で鉄道に乗せるべきだというのです。それが地方の高齢化ドライバーによる事故を救うことになると言っています。自転車+公共交通機関の連携は、今より進むことは間違いないでしょう。高齢化のみならず、これから低炭素コンパクトシティ化を考えると輪行が楽になることのメリットは大きいでしょう。

自治体ごとに自転車のルールが変わるのか

自転車のルール自体は全国共通です。
自転車のルールは全国共通で、これは変えようがありません。自転車活用推進法で定められるのは、自転車レーンの整備や教育、イベント等の推進であって、あくまで共通ルールに則りながら、自転車活用の推進のための施策をどうぞ行ってくださいというものです。ただ、自治体ごとに自転車の走りやすさについての濃淡は出てくるでしょう。自転車が使いやすい自治体には国から補助金も下るかもしれません。

取り締まりが厳しくなるのでしょうか

厳しくなる可能性はあります。
これに関しては、厳しくなるかどうかはわかりません。自転車活用推進法が理念法のためです。ただ、自転車の活用が推進され、ある意味優遇されるようになるならば、果たさないといけない義務も生まれてきます。これまでのように自転車は歩行者に毛が生えたようなものというかのように、デタラメに走り続けるというのでは、法律の理念が履行されません。警察もそういった点では取り締まりを厳しくする可能性はあります。(無灯火や車道の逆走等)

これからどんな条例が増えるのでしょうか

地方では高齢化と人口の減少のため、これ以上車のためのインフラを整えることができません。高齢者のための電動アシスト三輪車条例や車から乗り換えると補助金を給付のようなものができるかもしれません。また、大都市や観光地では車依存から脱却するための自転車レーン促進条例や乗り換え促進条例みたいなものを施行する自治体が出てくるかもしれません。

実際に都内を走ってみて感じた事

先日実際に都内をロードバイクで走ってきた時の感想を残しておきたいと思います。走行区間はジャイアント二子玉川店を起点に国道246号線、駒沢通り、目黒通り等。渋谷・代々木方面まで少し走ってきました。国道246号線は3車線の一番左車線に自転車専用の走行レーン、自転車ナビレーンが整備されていました。交差点も青い走行帯で自転車が交差点を安全に通過できるように、自転車の通行帯が明示されていました。しかし、国道246号線の左車線は荷降ろしのための車や路上駐車、バス等が多く自転車通行帯を走行するというよりは、左車線を路上駐車の車を避けながら走行している時間帯が結構多かったという印象です。
また、自転車ナビレーンは整備されているのですが、アスファルトの状態が悪く路面が荒れているため、ロードバイクで30km前後で走行していると結構路面からの凹凸の振動が伝わってきて、決して快適に走行できたわけではありませんでした。自転車ナビレーンを整備すると同時にアスファルトも綺麗にして凹凸のない走りやすい道路に整備する必要があると感じました。

都道の世田谷通りも自転車ナビレーンが整備されていました。国道246号より路面状態も良くこちらは、かなり走りやすかったです。しかし、元々道幅が狭い部分もあり信号等により渋滞が発生するとすり抜けして前に出るか、素直に車の後ろで待つか判断に迷う場面もありました。ロードバイクで自転車ナビレーンを上手く活用してサイクリングコースを組み立てる場合は国道は避けて都道等で自転車ナビレーンが整備された道路を中心に組み立てた方が、走りやすいサイクリングコースが作れそうです。しかし、都内渋谷や新宿等繁華街にアクセスするためには、どうしても国道を使用することは避けられないため国道の自転車ナビレーン部分のアスファルトの整備は2020年までに綺麗にして欲しいというのが個人的な希望です。

神奈川県の川崎市側に入ると自転車ナビレーンはまだ整備されていませんでした。たまたま私が走った県道が整備されていないだけかもしれませんが、私が走った県道はそこそこ通行量が多く、神奈川の主要な地域へアクセスできる道路なので自転車ナビレーンを整備されていてもおかしくない道なので、このへんはまだ自治体によって温度差があるのかなと感じました。

自転車活用推進法を生かすも殺すもサイクリスト次第

自転車活用推進法は成立・施行されました。条文を読むと何もかも明るい未来を指し示しているように見えます。ただ、本当に明るい未来がくるかどうかは、サイクリスト次第という気もします。自転車に乗る側が歩行者にも車にも迷惑ということになると、なんだやっぱり自転車はダメだという世論が起きてしまうのは明らかです。困るのは、目の前の現状を延長して自転車利用を促進するならば、それは間違いなく自転車は迷惑になるに決まっているということです。

まずはルールを守りましょう。少なくとも左側通行をしましょう。信号を守りましょう。夜間にはライトを点灯しましょう。車道を走りましょう。これは私達だけじゃなくママチャリにもそうして頂きたいです。歩道を走行するなら歩行者優先で安全な速度で徐行しながら走行することを心がけて頂きたいです。車のドライバーにも自転車のルールを理解して頂きたいところです。そういうことを地道に啓発活動で乗り越えることで本当の意味で自転車活用推進法の理念が浸透してくるのだと思います。

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